こんにちは。京都市伏見区にある「ひらうち歯科」です。
寝たのに寝た気がしないと感じる方のなかには、睡眠時無呼吸症候群なのではないかと不安になっている方がいるかもしれません。睡眠時無呼吸症候群になりやすい人には特徴があります。
放置すると、身体や日常生活に影響を及ぼす可能性があるため、早めに改善したほうがよいかもしれません。
今回は、睡眠時無呼吸症候群の原因やなりやすい人の特徴、放置するリスクについて解説します。治療法についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気のことです。なかには、呼吸が止まらずに浅くなるだけの方もいます。いずれにしても、睡眠時の呼吸に異常がみられることで体が低酸素状態となることが特徴です。
専門的には、10秒以上呼吸が止まった状態を無呼吸といい、睡眠中の1時間に平均5回以上無呼吸がみられると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
しかし、睡眠時の呼吸状態を自分自身で確認することは難しいため、周囲にひどいいびきや呼吸が一時的に止まっていることを指摘されて気づくケースも多いです。
そのほかにも、夜間の睡眠時によく目が覚める方や起床時に頭痛がしたり身体のだるさを感じたりすることが多い方、しっかり寝たはずなのに日中眠気に襲われる方などは、睡眠時無呼吸症候群が疑われるでしょう。
睡眠時無呼吸症候群の原因
では、睡眠時無呼吸症候群はどのような原因で引き起こされるのでしょうか。ここでは、睡眠時無呼吸症候群のおもな原因について解説します。まず、睡眠時無呼吸症候群は3つの種類に分けられます。
1つ目は、鼻や口から肺の入り口(声帯)までの空気の通り道が短くなる閉塞型です。2つ目は、呼吸を司る脳の働きが低下することによって引き起こされる中枢型、3つ目は閉塞型と中枢型の両方が関係して引き起こされる混合型です。
この3つの中で最も多くを占めるのが閉塞型で、閉塞型のおもな原因は肥満といわれています。通常、私たちが寝ている間には喉の緊張が緩むため気道が細くなりますが、呼吸が止まることはありません。
しかし、肥満の方の場合は喉の脂肪も多いため、空気の通りが妨げられるのです。
とはいえ、肥満でない方であっても顎の骨格の問題や喉の奥の形状によっては空気の通りが悪くなることがあります。
睡眠時無呼吸症候群になりやすい人
では、どのような方が睡眠時無呼吸症候群になりやすいのでしょうか。先に述べた通り、肥満の方は睡眠時無呼吸症候群になりやすいといわれていますが、それ以外にも睡眠時無呼吸症候群になりやすい人には特徴があります。
性別
性別でいえば、女性よりも男性のほうが睡眠時無呼吸症候群になりやすいといわれており、男女比は2~3:1ほどです。これは、男性のほうが上半身に脂肪がつきやすいことが原因であるといわれています。
しかし、女性であっても年齢とともに睡眠時無呼吸症候群になるリスクが高くなることもわかっています。
年齢
男性の場合には、30代~60代の方が多く発症しており、働き盛りの方に多いという特徴があります。これは、仕事中心の生活により運動不足になったり食生活が乱れたりすることで中枢脂肪が蓄積しやすくなることが原因として考えられるでしょう。
また、年齢を重ねるごとに首回りの筋肉が衰えることも一因といわれています。特に、若い頃に比べて大幅に体重が増えている方は注意が必要です。
女性の場合には、更年期を過ぎたあたりから睡眠時無呼吸症候群の罹患率が高くなります。特に、閉経後は発症率が高まるといわれており、これは女性ホルモンのひとつである黄体ホルモン(プロゲステロン)の減少に伴って引き起こされます。
プロゲステロンには上気道を拡張する働きがあるため女性は男性よりもいびきをかきにくいですが、ホルモン分泌の低下とともに睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まるのです。
なお、子どもであってもアデノイド肥大や口蓋扁桃肥大、アレルギー性鼻炎などによる鼻づまりが原因で睡眠時無呼吸になることがあります。
成長期の睡眠に問題が生じると集中力が低下したり日中の眠気によって学習能力が低下したりすることもあるため、早めに対処することが望ましいでしょう。
生活習慣
日頃から食生活の偏りや暴飲暴食、過度な飲酒、運動不足などがある方は、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高くなるといわれています。
また、生活習慣の乱れは睡眠時無呼吸症候群だけでなく、糖尿病や高血圧、心不全を引き起こすリスクが高まるため、生活習慣が乱れていると感じる方は見直す必要があるでしょう。
体格
睡眠時無呼吸症候群は体格や首回りの骨格などにも関連しています。特に、日本人は下顎が小さいため、舌の付け根が気道を塞ぎやすいといわれています。
そのほかにも、首が短い方や首が太い方、生まれつき上気道(鼻から咽頭まで)が狭い方、舌の付け根が大きい方、鼻の気道が湾曲している方などは睡眠時無呼吸症候群になりやすいでしょう。
なお、歯並びが乱れている方は口の中の容積が小さくなることから舌が喉のほうに押し出され、気道が狭くなりやすいという特徴があります。
睡眠時無呼吸症候群を放っておくとどうなる?
睡眠時無呼吸症候群を放っておくとさまざまなリスクが生じます。ここでは、注意すべきリスクについて解説します。
心血管疾患
睡眠時の無呼吸が繰り返されている状態では、体に十分な酸素を取り込むことができません。その結果、心臓が過剰に働き、心臓や血管に負担がかかるようになります。
また、無呼吸により睡眠が妨げられることで自律神経のバランスも乱れるでしょう。それにより、夜間でも交感神経が刺激されて血圧が上がることがあります。心臓や血管への負担を繰り返すことにより、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まるため注意が必要です。
生活習慣病
睡眠時無呼吸症候群によって睡眠の質が低下すると、自律神経のバランスが崩れ、ホルモンの分泌にも影響を及ぼします。
例えば、睡眠時間が短くなることで食欲を抑えるレプチンというホルモンが減少し、食欲を増進させるホルモンであるグレリンが増加します。すると、食べすぎにより太りやすくなるでしょう。
また、肥満になると血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが悪くなるため、血糖値が高くなり、糖尿病を発症しやすくなります。
日常生活への影響
睡眠時無呼吸症候群によって毎晩の睡眠の質が低下すると、日中にひどい眠気に襲われたり仕事や学習に集中できなくなったりすることが考えられます。その結果、危険なミスや事故を招いたり居眠り運転のリスクが高まったりすることもあるでしょう。
寝ても疲れが取れないと感じる方や、日中強い眠気に襲われる方は、安全のためにも早めに治療を開始することが大切です。
精神疾患への関連
睡眠不足が続いたときに、イライラしたりやる気が出なくなったりした経験がある方もいるかもしれません。実は、睡眠時無呼吸症候群によって睡眠が妨げられることでうつ病のリスクが高くなるといわれています。
うつ病と睡眠時無呼吸症候群では似たような症状が出ることがあり鑑別が難しいところですが、なかには睡眠時無呼吸症候群が改善することでうつ病のような症状が改善するケースもあるのです。
睡眠時無呼吸症候群の治し方
睡眠時無呼吸症候群の治療法には、おもに以下の3つの方法が挙げられます。ここでは、それぞれの内容について解説します。
CPAP療法
CPAP(シーパップ)療法とは、Continuous Positive Airway Pressureの頭文字をとったもので、日本語では経鼻的持続陽圧呼吸療法といいます。
閉塞型の睡眠時無呼吸に有効な方法で、鼻に装着したマスクから気道へ持続的に空気を送り、睡眠中に無呼吸にならないようにします。
マウスピース
睡眠時無呼吸症候群の治療として、マウスピースを装着する方法もあります。このマウスピースはスリープスプリントともいわれ、下顎を上顎よりも前に出すように固定することによって上気道を広く保つ役割があります。
この方法は中等度までの閉塞型に有効ですが、重症の場合には効果があまり見込めないかもしれません。また、スリープスプリントを作製するためには睡眠時無呼吸症候群についての知識やマウスピース作製の経験が豊富な歯科医師に依頼する必要があるでしょう。
外科的手術
睡眠時無呼吸症候群の原因がアデノイド肥大や扁桃肥大などの場合には、摘出手術をおこなうケースもあります。そのほか、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)といって、のどちんこの一部を切除する方法もありますが、十分な効果が得られないこともあります。
また、手術をした数年後に切除部位が瘢痕化し、睡眠時無呼吸症候群が再発するケースもあるでしょう。
睡眠時無呼吸症候群の症状がある場合は歯医者に相談しよう
「寝ても寝た気がしない」「家族にいびきや無呼吸を指摘された」という方のなかには、病院を受診するべきか悩んでいる方も多いかもしれません。
睡眠時無呼吸症候群の症状がみられる場合には、まずPSG検査を受けることが一般的です。PSG検査は睡眠障害の診断をおこなうための検査で、睡眠時の状態をモニタリングします。
脳波や眼球運動、心電図、筋電図、呼吸曲線、いびきの状態、動脈血酸素飽和度などを確認することで、睡眠時の状態を詳しく把握できます。
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には、呼吸器内科や耳鼻咽喉科で診察を受ける方法もありますが、ハードルが高いと感じる方は歯科医院で相談することも可能です。
PSG検査を受ける前であっても歯科医師に相談すればPSG検査を受けられる医療機関を紹介してもらえるでしょう。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群をそのまま放っておくと日常生活に支障が出ることもあります。また、将来的にもさまざまなリスクが考えられるため、早めに治療を開始することが望ましいでしょう。
睡眠時無呼吸症候群の治療ときくと、専門的な医療機関への受診が必要というイメージが強く、躊躇する方も少なくありません。
しかし、睡眠時無呼吸症候群についてのご相談は歯科医院でも可能です。
睡眠時無呼吸症候群にお悩みの方は、京都市伏見区にある「ひらうち歯科」にお気軽にご相談ください。
当院では、一般歯科だけでなく小児歯科や矯正歯科、審美歯科の診療も行っています。診療案内はこちら、ネット予約も24時間受け付けておりますので、ぜひご活用ください。