こんにちは。京都市伏見区にある「ひらうち歯科」です。
「奥歯にもインプラントを入れられるの?」と疑問を持っている患者さまもいるでしょう。奥歯を失うと咀嚼効率が著しく低下し、食事の際に硬いものが噛みにくくなるだけでなく、消化不良や胃腸への負担増加を招く恐れがあります。
また、隣在歯にかかる過度な力で歯ぐきや骨が痩せ、歯並びの乱れや発音の変化を引き起こすことがあります。インプラントは顎骨にしっかり結合し、天然歯のような噛み心地と審美性を長期的に維持できる治療です。
本記事では、奥歯のインプラント治療で得られるメリット、注意点、費用相場を詳しく解説します。治療の流れもわかりやすくまとめたので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
奥歯を失うとどんなリスクがある?
奥歯を失ったときのリスクは、以下のとおりです。
かみ合わせのバランスが乱れる
奥歯が抜けた状態が続くと、本来かみ合っていた位置がずれて隣在歯が傾きやすくなります。反対側の歯にも不均等な力がかかり、歯ぐきや顎骨に過剰な圧力が生じるため、違和感や顎関節の痛みが慢性化するかもしれません。
咀嚼機能の低下
奥歯での咀嚼力が低下すると、硬い食材を無意識に避けるようになり、肉類や繊維質の野菜が十分に摂れなくなります。咀嚼不足で噛み砕かれないまま胃に送られた食べ物は、胃もたれや便秘、消化不良を招きやすくなります。
長期的にはたんぱく質やビタミン不足によって免疫力の低下を引き起こす可能性があり、全身の健康にも影響を与えかねません。
顔貌の変化
奥歯を失うと、頬のボリュームが減少します。その結果、ほうれい線が深く刻まれ、口元が痩せて見える原因になります。さらに歯ぐきや歯槽骨の萎縮が進むことで唇の位置が下がり、口元のたるみが生じやすくなります。
こうした変化は横顔のバランスにも影響し、見た目のコンプレックスや心理的ストレスにつながる場合があります。
奥歯のインプラント治療が難しいといわれる理由
奥歯のインプラント治療が難しいといわれる理由は、以下のとおりです。
かみ合わせる力が強くかかる
奥歯は咀嚼の際に最も大きな力が集中するため、インプラントに加わるかみ合わせの力が前歯に比べて何倍にも増します。この負荷に耐えられるように、インプラント本体やアバットメントの強度を確保しつつ、術後のかみ合わせを精密に調整する必要があるのです。
上顎洞が近く骨量が不足しやすい
上顎の奥歯部位は骨の厚みが薄く、すぐ上に空洞(上顎洞)が存在するため、インプラントを埋入するだけの骨量が足りないケースが多く見られます。この場合、ソケットリフトやサイナスリフトといった骨造成手術を併用しながら、慎重にアプローチする技術が必要になります。
歯肉が不足しやすい部位である
インプラントを安定させるには、埋入部周囲にしっかりとした歯ぐきが最低2mm必要とされています。
しかし、奥歯の中でも第二大臼歯周辺は柔らかい粘膜が広がりやすく、基準を満たさないケースが少なくありません。歯肉が不足するとインプラント周囲炎のリスクが高まるため、インプラントを入れる前に歯肉を移植する処置が求められます。
手術器具が入りにくい
口を十分に開けても、奥歯周辺の物理的なスペースが限られており、ドリルやインプラントの部品をスムーズに操作しにくい環境です。狭い空間で器具を安定させ、視野を確保しながら正確に角度を合わせるには、術者の熟練度の高さが欠かせません。
奥歯をインプラントにするメリット
奥歯にインプラントを入れるメリットは、以下のとおりです。
隣の歯に余計な負担をかけない
奥歯にインプラントを埋入すると、独立した人工歯根が直接歯槽骨に固定されます。そのため両隣の健康な歯を支えに使わず、ブリッジのような歯を削る処置や、入れ歯の金具によってかかる圧力を避けられます。
特に、咀嚼時の強い力が働く奥歯では、隣接歯を守りながら安定したかみ合わせの力を獲得できるでしょう。長期的にも周囲の歯が健康な状態を維持しやすく、将来の治療リスクを低減できます。
消化器官への負担を減らせる
奥歯の機能が回復すると、食べ物を細かく咀嚼できるようになり、胃や腸に送られる際の食物を適切なサイズにできます。奥歯を失って硬い食材を丸飲みしていた人でも、しっかり噛み砕く習慣が戻り、消化不良や胃もたれ、便秘などのトラブルを軽減できるでしょう。
インプラントによって消化効率が向上すれば、栄養吸収率もアップし、全身の健康維持にプラスに働きます。
かみ合わせのバランスを整えられる
歯がないまま放置すると、隣の歯が倒れ込んだり、反対側の歯が突出したりしてかみ合わせが乱れます。インプラントは理想的な位置と角度で埋入できるため、かみ合わせる面の高低差や接触点を精密に調整しやすくなります。
特定の歯にかかる過度な負荷を防ぎ、顎関節への負担も軽減できるでしょう。定期的なメンテナンスで、長期間にわたり安定したかみ合わせを維持できます。
自然な発音を取り戻せる
歯が抜けた部分から空気が漏れると、サ行、タ行などの発音が不明瞭になり、会話に支障をきたすことがあります。インプラントは顎骨に固定されるため、入れ歯で起こりやすいズレや浮き上がりが起こりません。
その結果、正確な発音がしやすくなります。奥歯を含めた全体の歯列が整うことで、自信を持って会話できるようになるでしょう。
見た目の自然さを実現できる
インプラントは金具やバネを使う入れ歯と異なり、人工歯根が歯肉の中に隠れる構造です。外からは天然歯とほとんど見分けがつかず、笑ったときや会話中に金属部分が見える心配がありません。
歯ぐきのラインに沿った形で上部構造を装着できるため、周囲の歯との色や形の調和が取りやすく、審美性を高められます。
奥歯をインプラントにするときの注意点
奥歯をインプラントにするときに注意するポイントは、以下のとおりです。
骨量不足時には骨造成が必要になる
インプラントを顎骨にしっかり結合させるには、十分な骨量が求められます。特に、奥歯は咀嚼力が大きいため、骨の厚みや強度が不足しているケースが多く見られます。その場合は骨を増やす骨造成や、人工骨移植といった外科的処置が必要です。
これらの手術は専門的な技術と設備を要するため、対応できる歯科クリニックが限られる点を確認しておきましょう。
自費診療になるため費用負担が大きい
インプラント治療は基本的には保険の対象外となるため、治療費は全額自己負担になります。1本あたりの費用は材料や手術の難易度、前処置の有無によって変動します。カウンセリングや見積もりの段階で、事前にトータルコストを把握しておきましょう。
治療期間が長期化しやすい
人工歯根と顎骨が安定して結合するまでには通常3〜6ヶ月を要します。骨造成が必要な場合は、さらに半年から1年程度の期間がかかることもあります。
治癒過程では定期的な検査とメンテナンスが必要となるため、仕事や旅行などのスケジュールに合わせ、治療計画を立てることが大切です。また、術後のブラッシング習慣やメンテナンスを怠ると結合が不安定になる恐れがあるため、継続したケアを心がけてください。
奥歯をインプラントにする場合の費用
奥歯へのインプラント治療では、通常1本につき約30万円~50万円程度が相場です。
ただし、CT撮影や診断用模型の作成、骨造成手術の要否、上部構造に使用する素材などで総額は大きく変動します。また、医療ローンや分割払いに対応する歯科クリニックもあるため、支払い方法についてもあらかじめ相談しておくと良いでしょう。
治療を検討する際には、複数の歯科クリニックで見積もりを取って比べ、費用内訳や保証制度、アフターケア料金の有無まで詳細に確認するようにしてください。
失った奥歯を補うインプラント以外の治療法
失った奥歯を補うインプラント以外の治療法は、以下のとおりです。
ブリッジ
ブリッジ治療は、欠損部の両隣にある健康な歯を支えにして、人工歯を連結する固定式の補綴物です。取り外しの手間がなく、咀嚼時の安定感は天然歯に近いのが特長です。
素材は金属製からセラミック製まで選択でき、目立つ部分には自然な色調のセラミックを用いることで審美性を高められます。
ただし、隣の歯を削る必要があります。将来の歯への影響も考慮して、治療計画を立てることが大切です。
入れ歯
入れ歯には、部分入れ歯と総入れ歯があり、どちらも短期間で作製できる点がメリットです。治療期間は約2週間から1か月程度で、通院回数も少ないため仕事や家事で忙しい患者さまにも選ばれています。
さらに、使用中に違和感や痛みが出た場合でも、歯科クリニックで簡単に調整が可能なので、快適な装着感を維持しやすいです。保険適用の入れ歯を選べば費用を抑えられ、経済的な負担も軽減できます。
まとめ
奥歯のインプラント治療は、咀嚼力を回復し、隣在歯を傷つけずに自然な見た目と発音を改善できます。消化機能も向上し、硬いものも躊躇なく楽しめるメリットがあります。
ただし、高額な費用負担、治療期間の長さには十分な注意が必要です。術後は丁寧なブラッシングを継続し、歯科クリニックでのチェックを受けることが長期的な安定に不可欠です。
また、ブリッジや入れ歯といった代替法も含め、複数の歯科クリニックで見積もりを比較し、患者さまに合った治療計画を立ててください。
インプラント治療を検討されている方は、京都市伏見区にある「ひらうち歯科」にお気軽にご相談ください。
当院では、一般歯科だけでなく小児歯科や矯正歯科、審美歯科の診療も行っています。診療案内はこちら、ネット予約も24時間受け付けておりますので、ぜひご活用ください。