こんにちは。京都市伏見区にある「ひらうち歯科」です。
MFTとは、口周辺の筋肉を鍛えることで、口腔機能の改善を目指す治療法です。さまざまな方法があるため「具体的なトレーニングの内容は？」「本当に効果がある？」など、疑問を持つ方もいるでしょう。
この記事では、MFTの効果や流れ、具体的なトレーニングの内容について解説します。
目次
MFT（口腔筋機能療法）とは
歯並びを悪化させるのは、先天的な要因だけではありません。生まれた時は歯並びに問題がなくても、生活習慣が原因で後天的に歯並び・噛み合わせが悪化することがあります。
例えば、指しゃぶりや口呼吸、舌癖、頬杖などが挙げられます。これらの習慣を続けると、上顎前突（出っ歯）や叢生、開咬、下顎前突（受け口）になることがあります。
また、歯並びが悪化することで虫歯や歯周病のリスクが高まり、歯の寿命を縮めることもあるので注意が必要です。
MFTとは、歯並びを悪化させる後天的な要因を取り除き、舌・唇・頬などの筋肉を鍛えるトレーニングです。舌や唇の正しい位置、咀嚼や嚥下、呼吸法を習得することで、生活習慣を改善し、間接的に歯並びを整えます。
子どもがMFTを受ける目的は、早い段階で生活習慣を改善し、歯並びを悪化させる要因を根本的に改善することです。これにより顎の成長を促せるため、矯正治療を受けなくても歯並びが整えられる可能性があります。
一方、顎の成長が終わった大人の場合、MFTでは顎の成長を促すことは難しいです。矯正治療とMFTを並行して行うことで、改善された歯並びを長期的に維持し、後戻りを予防できるのがメリットです。
MFTで期待できる効果
MFTで期待できる効果は、以下の3つです。
口呼吸の改善
MFTにより筋肉が鍛えられれば、鼻呼吸に改善することができます。口呼吸になる主な原因は、舌の位置が悪いことです。正しい舌の位置は、上の前歯の裏側にある歯茎のふくらみ、スポットと呼ばれる位置にある状態です。
しかし、舌の筋肉が弱いことで正しく機能していなければ、舌の位置が下がります。これにより口呼吸になると、唇や頬の筋肉が使われず、上顎前突や叢生になることがあるのです。
MFTを行えば、舌や唇、頬の筋肉が鍛えられ、鼻呼吸に促すことができます。歯並びの改善ができるだけでなく、口腔内の乾燥を防ぐことで虫歯や歯周病、感染症の予防にもつながります。
嚥下・発音の改善
MFTにより、嚥下・発音の改善に効果的です。口腔機能が正しく使われていなければ、間違った飲み込み方により、歯並びの悪化・顎の成長を阻害することがあります。また、舌の動きが鈍くなることで、発音に障害が出るケースもあります。
特に、舌を突き出して食べ物を飲み込む癖がある場合や発音が不明瞭な場合に、効果的が期待できます。
歯並びの改善・予防
口呼吸や嚥下・発音など、MFTによりさまざまな生活習慣を改善できれば、結果的に歯並びの改善にもつながります。特に、子どもの場合、口周りの筋肉が正しく使われれば、顎の成長が促され矯正治療なしでも歯並びを改善できることがあります。
また、歯並びを悪化させる要因が根本的に解消されることで、効率的に矯正治療を進められるのもメリットです。
MFTの具体的な流れと方法
MFTは、お口の状態や歯科医院によってトレーニングの内容が異なります。ここでは、MFTの流れや具体的なトレーニングの内容について解説します。
治療の流れ
一般的なMFTの流れは、以下のとおりです。
- 検査
- 診断
- 通院・トレーニング開始
- 自宅でのトレーニング
- 通院と自宅でのトレーニングを繰り返す
まず、お口の状態を確認するために、口腔内の検査を行います。検査の内容は、レントゲンやCT撮影で歯並び・噛み合わせの状態確認、虫歯・歯周病の有無、口腔周辺の筋肉の検査などです。
検査により歯並びの悪化の原因を特定し、効果的な治療法を立案します。
MFTを受ける場合、まずは歯科医院で歯科医師・歯科衛生士とともにトレーニングを行います。正しいトレーニング方法を習得することで、矯正治療の効果を高めるためです。また、ご自宅でも毎日トレーニングを続けることで、より効果が期待できるでしょう。
ただし、1回のトレーニングだけでは、効果は得られません。定期的に通院し、経過に合わせて適切なトレーニングを続けることが大切です。
MFTの具体的な内容
舌を正しい位置に導くためには、舌の筋肉を鍛えることが必要です。MFTの具体的な内容は、以下の通りです。
スポット
正しい舌の位置を習得するトレーニングです。指もしくは棒でスポットを確認し、指や棒を離し、スポットを舌先で触れ、舌の側面・舌先に力を入れながら5秒間キープします。
この動作を10回程度繰り返します。
ポッピング
舌全体の筋肉を鍛えるトレーニングです。口を閉じた状態で舌を持ち上げ、舌全体に力を入れながら上顎に押し付けます。この後、口を開けて、ポンと音が鳴るように力を入れながら舌を上顎から離します。
この動作を10回ほど繰り返します。
スティック
舌先・下の側面の筋力を鍛えるトレーニングです。口の前に垂直に棒を持ち、尖らせた舌で棒を押します。棒は舌を押すように力を加えます。舌と棒を押し合う状態を3秒間キープしましょう。この後、口を閉じて休みます。
この動作を10回程度繰り返しましょう。
ボタンプル
唇の力を鍛えるトレーニングです。紐を通したボタンを用意し、歯と唇の間にボタンを挟みます。この状態でボタンに通した紐を引っ張り、唇の力でボタンが飛び出ないようにします。この動作を10回程度繰り返します。
唇だけの力でボタン・紐を拮抗させることで、上顎前突の予防、口呼吸の改善に効果があります。
スラープ＆スワロー
正しい嚥下の方法を学ぶトレーニング方法です。舌をスポットにつけ、舌全体を上顎に押し付けます。この状態で犬歯（前から3番目の歯）の後ろにストローを差し込み、軽く噛み合わせます。隙間からスプレーなどで口内に水を入れ、水を口内の後方に集めましょう。
奥歯を噛んだまま、口内の水を飲み込みます。この動作を10回程度繰り返します。
正しい位置に舌を置いたまま、飲み込む動作が身に付きます。舌先が歯に当たらないので、歯並び・噛み合わせの維持・後戻りの予防に効果的です。
あいうべ体操
表情筋をトレーニングする方法です。歯並びは、頬の筋肉によっても維持されます。表情筋のトレーニングにより、お顔全体の筋力を保つことが重要です。
あの形で口を大きく開け、いの形で横に口を引き、うの形で唇を突き出し、べの形で舌を下に大きく伸ばします。この動作を30回程度繰り返しましょう。
この体操を行う際は、声を出さなくても構いません。声を出しながら行えば、口の形を認識しやすくなり効果を高められます。
MFTの費用と通院頻度
矯正治療は基本的には自費治療になるため、MFTも自費治療です。歯科医院によって異なるものの、費用は1回あたり約3,000～1万円です。
一般的には、1ヵ月に1回のペースで通院し、自宅でのトレーニングも併用します。MFTは長期的に行うことが多いため、費用が高くなる場合もあります。
矯正治療の費用にMFTを含むケースもありますので、事前に歯科医院に確認しておきましょう。
MFTのメリットとデメリット
どのような治療法にも、メリットだけでなくデメリットが存在します。ここでは、MFTのメリット・デメリットを確認しましょう。
MFTのメリット
MFTのメリットは、以下の通りです。
- 矯正治療を効果的にすすめられる
- 発育の促進
- 口腔内の健康の維持
- 全身の健康の促進
MFTにより口周りの悪い習慣が改善されると、矯正治療を効果的に進められます。歯並びを悪化させる原因が取り除かれるためです。特に、子どもの場合、顎の成長の促進により正しい位置に歯が並びやすくなります。
また、歯並び・噛み合わせが改善されることで、発育を促進したり、虫歯や歯周病の予防につながったりするのもメリットです。さらに、全身の健康にもよい影響を与えることもわかっています。
お口周りの筋肉が鍛えられれば、首や肩につながる筋肉の負荷が減り、肩こり・めまい・頭痛が解消されることがあるのです。
MFTのデメリット
MFTのデメリットは、以下の通りです。
- 直接的に歯並びを整える方法ではない
- 1回では効果が出ない
- 正しい方法でないと効果が出ない
MFTは、直接的に歯並びを整えられる治療法ではありません。多くの場合、ワイヤー矯正やマウスピース矯正と併用するのが一般的です。
また、MFTは、正しい方法で継続的にトレーニングを行うことが重要です。1回のトレーニングだけでは効果が出ないため、長期的に行う必要があります。
特に、お子様の場合、自主的にトレーニングを行うことは難しいといえます。お子様だけに治療を任せきりにせず、継続的に保護者の方がサポートを行いましょう。
さらに、間違った方法でトレーニングを行うと、十分な効果が得られない可能性があります。そのため、定期的に歯科医院に通院し、プロからトレーニング方法を習得することが大切です。
まとめ
MFTとは、歯並びを改善するために大切な、舌・唇・頬などの筋肉を鍛えるトレーニングのことです。特に、子どもの場合、MFTを受けることで歯並びを早期に改善できる可能性があります。
ただし、MFTの効果を高めるためには、歯並びを悪化させる原因を突き止め、ご自身に合ったトレーニングを受けることが大切です。
MFT（口腔筋機能療法）を検討されている方は、京都市伏見区にある「ひらうち歯科」にお気軽にご相談ください。
当院では、一般歯科だけでなく小児歯科や矯正歯科、審美歯科の診療も行っています。診療案内はこちら、ネット予約も24時間受け付けておりますので、ぜひご活用ください。
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