こんにちは。京都市伏見区にある「ひらうち歯科」です。
子どもの矯正治療で使用する装置には、さまざまな種類があります。そのなかでも、マイオブレースとはどのような装置なのか気になっている保護者の方がいるのではないでしょうか。マイオブレースには違和感や痛みが少なく、取り外しができるなど多くのメリットがあります。
この記事では、マイオブレースとはどのような矯正装置か詳しく解説します。適応症例やメリット・デメリット、費用、期間についても言及していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
マイオブレースとは
マイオブレースとは、歯並びを悪くする原因を根本的に解消することで、歯並びを整える治療法です。
そもそも、子どもの歯並びを悪くする原因は、口呼吸や舌癖、指吸いなどの悪習癖です。これらの悪習癖があると、お口周りの筋肉が正しく使われないことで、歯並びに影響を与えることがあります。
マイオブレースは、歯並びに影響を及ぼす悪習癖を改善できるように作られています。子どものうちに悪習癖を改善できれば、顎の成長を促し、正しい位置に歯が並ぶように誘導できます。
また、マイオブレースの装着と併せて、1日2回、お口周りの筋肉のトレーニングを行います。正しい呼吸法や飲み込み方の習得、舌の位置の改善を行うことで、顎の成長を促して歯が並ぶスペースを確保できるのがメリットです。
マイオブレースの適応年齢は3〜15歳頃の子どもとされていますが、顎の成長が著しい約6〜8歳に治療をスタートするとよいとされています。
上顎の成長が終わる小学校高学年頃までに治療をスタートすることで、子どもの成長を利用しながら効率的に歯並びが整うように促すことができるでしょう。
マイオブレースで治療できる症例
ここでは、マイオブレースで治療できる主な症例について解説します。
叢生(そうせい)
歯と歯が重なったりねじれたりして、ガタガタした歯並びのことです。八重歯も叢生に含まれ、お子様の歯並びのお悩みで最も多い症例といわれています。叢生の主な原因は、顎の成長不足で歯の生えるスペースが足りないことです。
このような歯並びには、マイオブレースを使用して顎の成長をコントロールすることで歯並びの改善が期待できます。
出っ歯
下の前歯よりも上の前歯が前に出た状態が、出っ歯です。出っ歯の原因は、上下の顎のバランスの悪さや指吸い、舌癖などです。
マイオブレースを使用することで上下の顎のバランスを整えることができます。また、併せてトレーニングを行うことで、悪習癖を改善でき、歯並びの悪化も予防できるでしょう。
受け口
出っ歯とは反対に、上顎よりも下顎が前に出た状態を受け口といいます。受け口の原因は、遺伝や上下の顎のバランスの悪さなどです。マイオブレースを使用して顎のバランスを整えることで、受け口の改善が期待できます。
開咬
開咬とは、奥歯を噛み合わせたときに、上下の前歯が噛み合わず、隙間があいている状態のことです。開咬の場合、歯並び自体が悪くないことがあるため、治療の必要はないと感じるかもしれません。
しかし、奥歯しか噛み合わないことで、奥歯の擦り減りや顎関節症を引き起こすおそれがあります。また、空気が漏れることにより、滑舌が悪くなることもあるため注意が必要です。
開咬の原因は、口呼吸や舌癖、指吸いなどです。マイオブレースにより悪習癖を改善することで、正しい歯並び・噛み合わせに整えられるでしょう。
過蓋咬合
過蓋咬合とは、奥歯を噛み合わせたときに、上の前歯が下の前歯に深く覆いかぶさる噛み合わせのことです。噛み合わせが深くなると、顎がスムーズに動かなくなり、顎関節に負担がかかって顎関節症を発症する可能性があります。
また、下の歯が上の前歯の裏側の歯茎に当たって痛みや炎症を起こすこともあるでしょう。過蓋咬合の原因は、遺伝や口呼吸、指吸い、唇を噛む癖などです。
マイオブレースを使用することで、上下の顎のバランスを整えられれば、正しい位置に永久歯を誘導できます。また、悪習癖を改善することで、治療後の歯並びを保つ効果も期待できるでしょう。
マイオブレースのメリット・デメリット
ここでは、マイオブレースのメリット・デメリットについて解説します。
マイオブレースのメリット
マイオブレースには、以下の5つのメリットがあります。
見た目が気にならない
マイオブレースは、家の中でしか装着しません。学校や外出先で使用することはないため、見た目を気にする必要がないのがメリットです。矯正装置が人目につかないため、お子様のストレスや負担になりにくいでしょう。
痛みが少ない
ワイヤー矯正の場合、歯に装置を取り付けることで、歯1本1本に強い力がかかり、違和感や痛みが出やすいといわれています。
その点、マイオブレースは歯を動かすことを目的としていないため、痛みが出にくいのがメリットです。装置に慣れるまでは違和感を覚える場合がありますが、痛みが少ないため、お子様でも安心して治療を受けていただけるでしょう。
後戻りが起こりにくい
子どもの歯並びを悪くする原因の多くは、口呼吸や舌癖、指吸いなどの悪習癖といわれています。子どものうちにこれらの悪習癖を改善することで、間接的に歯並びを整えられる効果が期待できます。
また、マイオブレースの装着と併せてトレーニングも行うことで、お口周りの筋肉が鍛えられ、歯並びの悪化も予防できるでしょう。
抜歯が必要ない
大人になってから矯正治療をするときに、歯を並べるスペースが足りない場合には抜歯をすることがあります。虫歯になっていない健康な歯を抜くことは、大きなデメリットです。
しかし、マイオブレースは永久歯を並べる土台を整える治療法のため、抜歯することがありません。マイオブレースで顎の成長を促し、歯を並べるスペースを確保できれば、2期治療が必要になったとしても抜歯を避けられるでしょう。
また、正しい位置に歯が生えるようコントロールできるため、2期治療にかかる期間も短縮できる可能性があります。
全身の正しい発育を促すことができる
マイオブレースで悪習癖を改善すると、お子様の全身の発育にもよい影響をもたらします。
例えば、口呼吸から鼻呼吸に改善すると、感染症のリスクが低くなり、風邪やアレルギーにかかりにくくなるでしょう。また、口内の乾燥を防ぐことで、虫歯や歯周病になるリスクも軽減できます。
マイオブレースのデメリット
マイオブレースにはメリットがあるものの、以下のようなデメリットもあるため注意が必要です。
費用が高い
マイオブレースをはじめとした矯正治療は、基本的に保険適用外になるため、費用が高くなります。
しかし、子どものうちにマイオブレースを使用することで顎のバランスが整えば、2期治療が必要になっても、費用を抑えられたり治療期間を短縮できたりする場合があります。さらに、お口の状態によっては、1期治療だけで歯並びが整うこともあるでしょう。
このように、適切な時期にマイオブレースを使用することで、結果的に矯正治療にかかる費用を抑えられることがあります。
お子様の協力が必要不可欠
マイオブレースをはじめとした矯正治療では、お子様の矯正治療に対する理解と協力が必要不可欠です。なぜ歯並びを整える必要があるのかを理解していなければ、マイオブレースの装着時間を守れなかったり、トレーニングを継続できなかったりする可能性があります。
マイオブレースでは、装置の装着とトレーニングを併せて行わなければ、よい結果が得られません。そのため、治療を始める前に、お子様にマイオブレースで治療する目的やメリットについて理解してもらうことが大切です。
また、お子様の治療へのモチベーションを下げないためには、保護者の方のサポートも欠かせません。装着時間を管理してあげたりトレーニングを一緒に行ったりしましょう。
継続してトレーニングを行う必要がある
マイオブレースでは、装置の装着だけでなく、口周りの筋肉を鍛えるトレーニングも行う必要があります。トレーニングが不十分であれば、悪習癖により歯並びが悪化する可能性があるでしょう。
マイオブレースの装着時間とトレーニング
マイオブレースの装着時間は、日中1時間と就寝中のみです。基本的には自宅でしか装置を装着しないため、矯正治療中のストレスが少ないのがメリットです。
装置を装着するだけでなく、正しい呼吸法や舌の位置の改善、飲み込み方の習得、頬や唇の筋肉を鍛えるトレーニングも行います。1ヵ月に1回の頻度で歯科医院に通院し、ステップごとにトレーニング内容を変えて、お口周りの筋肉を鍛えます。
トレーニングは1日2回、1回あたり約2〜5分です。治療の効果を得るためには、マイオブレースの装着とトレーニングを併せて行うことが大切です。継続して行えるように、保護者の方がサポートしてあげましょう。
マイオブレースの費用と期間
マイオブレースの費用は歯科医院によって異なりますが、約30万〜60万円が目安です。お口の状態によっても費用は異なるため、詳しくは歯科医院で確認してください。
また、マイオブレースの治療期間は、半年〜2年程度です。お口の状態によっては、この期間よりも短い期間で終わることもあるでしょう。
しかし、マイオブレースの装着時間を守れていなかったり、トレーニングを行わなかったりすれば、十分な効果が得られない可能性があります。悪習癖が改善されず、顎のバランスが整わなければ、治療期間が延びることもあるのです。
マイオブレースの装着と併せてトレーニングをしっかり行うことができるよう、保護者の方がサポートしてあげましょう。
まとめ
マイオブレースとは、歯並びを悪くする原因を解消することで、歯が正しい位置に並ぶように促す治療です。装置の装着と併せて口周りの筋肉を鍛えるトレーニングも行う必要があります。マウスピースを装着することで、歯並びを整えるものではありません。
マイオブレースには、痛みが少ない、後戻りしにくいなど多くのメリットがある一方でデメリットもあります。どちらも理解したうえで、治療を受けるか検討しましょう。
また、マイオブレースの治療開始時期は、お子さんのお口の状態によって異なります。マイオブレースについて詳しく知りたい方は、歯科医院でカウンセリングを受けるとよいでしょう。
小児矯正を検討されている方は、京都市伏見区にある「ひらうち歯科」にお気軽にご相談ください。
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