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虫歯治療の証、詰め物・被せ物
皆さんは、ご自身のお口の中に詰め物や、被せ物の歯は何本ありますか?
一本も入っていない、という方はとても素晴らしいです。
被せ物が無いという事は、歯をあまり削っていない、つまり虫歯を最小限に抑えているという事になります。
そんな方には、今回のお話は縁が無い話かもしれませんが、詰め物や被せ物が入っている方は、過去に詰め物が取れてしまった!という経験はありませんか?
何の前触れもなく、気付いたら取れていた!何てことも珍しくないですよね。
被せ物が取れる主な原因は?
良くある原因としては、
- ・キャラメル等の粘着質の食べ物を咬んでいる時に、一緒にくっついて取れた
- ・固い食べ物を咬んでいる時に、歯が欠けて被せ物も取れた
- ・虫歯が再発して、取れてしまった
など、様々です。
取れた時に、「困った・・・どうしたらよいだろう?」という経験をした方も多いと思います。
そこで、今回は詰め物が外れてしまった時の対処法や、絶対にしてはいけない対処法などを解説いたします。
そもそも詰め物・被せ物って?
「詰め物・被せ物」と一括りにしていますが、被せ物には色々な種類や名称があります。
種類によって、被せ物の形や大きさが異なるのですが、主に4つに分類されます。
1つ目は、虫歯を削って、その場でプラスチックレジンを埋めて歯の形態の回復をするCR(コンポジットレジン)充填という治療になります。白い詰め物で、【CR】と呼びます。
被せ物、いわゆる歯科補綴(しかほてつ)は型を採り、歯科技工所で補綴物を製作し、歯に装着するのに対し、CR充填はその場でプラスチックレジンを虫歯を削った箇所に詰め、光照射で固め、その場で治療が完結します。
2つ目は、小臼歯以降(3番目以降の歯)の、歯の咬み合う部分を咬合面というのですが、その咬合面を部分的に覆って、歯の形態に回復させる補綴を【インレー】と呼びます。
3つ目は、歯の根っこの神経を取る治療を根管治療というのですが、その場合、歯の根の付近まで歯を大きく削る必要があります。その削った部分にふたをする役割や、最終的に歯の被せ物を被せるための土台を作ります。この土台を【コア】と呼びます。
金属やプラスチック素材の物があります。
4つ目は、コアの上に接着して被せる、歯の形そのものの被せ物で、【クラウン】と呼び
ます。
クラウンが丸々はずれるケースも
CRやインレーは部分的に形態回復する詰め物になるので、形も小さいのに対して、クラウンは丸々歯の形をした被せ物になるので、それぞれ外れた時の感触も変わってきます。
また、コアがはずれた!という事は、上の被せるクラウンも外れているという事になりますし、同時に歯の根っこ近くまで穴が開いてしまっている状態です。
コアから外れた場合は、早急に歯科医院で診てもらった方が良いでしょう。
被せ物が外れる原因と対処法は?
被せ物がはずれてしまう原因は様々です。
- ・被せ物の接着不良
- ・歯ぎしりや咬み合わせが強く、被せ物に負担が掛かっている
- ・詰め物、被せ物の経年劣化
- ・被せた箇所で、再び虫歯になってしまっている
などが主な要因です。
被せ物・詰め物が入っている部分は【虫歯を補修した箇所】になりますので、ご自身の天然歯と比較するとダメージを受けている歯なので、トラブルが起きやすくなるのです。
万が一、外れてしまった場合の対処法はどうしたら良いのでしょうか?
一番の対処は取れた被せ物を持参し、歯科医院で診てもらう事が一番ですよね。
でも実際は、夜に外れた、忙しくて歯科医院に行く時間がないなど、何らかの事情で歯科に行けないという方もいらっしゃるはずです。
そんな場合の対処法は、歯科医院に行けるまでは【いじらず触らず、きれいに保つ】です。
「何の対処にもなってないよ!」と思われるかもしれませんが、下手に手を加えることで、ますます悪化する場合があるからです。
被せ物が取れた際に、このような事も注意!
外れた際には、気になって手や舌でいじったり触ったりするのは止めましょう。
特に虫歯が原因で外れた場合は、
- ・触ったりいじったりすると、更に歯が欠ける可能性
- ・歯が鋭利に尖っている場合もあり、舌を切ってしまう可能性
があります。
気になっていじってしまう気持ちはわかりますが、我慢した方が良いでしょう。
また、外れた部分では
- ・食事の際には外れた箇所で極力咬まないようする。
- ・歯磨きの際もブラシを当ててキレイに保つようする。
- ・歯磨きの際、強くゴシゴシは厳禁
を意識して下さい。
歯磨きを怠り、更に外れたまま放置しておくと、食渣が原因で虫歯が広がり、最悪な場合
抜歯の可能性もあります。
ただし、取れた被せ物がもう一度はまるかどうかは、ご自身で試してみても良いでしょう。その際は必ず強く噛んではめようとせず、歯が欠けないよう優しく丁寧にはめてみて
下さい。
ピタッとはまるようなら、再度被せ直しが出来る可能性もありますので、被せ物を乾燥させないよう保管し、後日診療時に一緒にお持ち下さい。
取れた詰め物の管理は?
再接着の可能性もありますが、このような場合は再接着は出来ません。
- ・コンポジットレジンが取れた場合は、治療や材料の性質上、再度被せ直しは出来ないので、
歯の状態を確認し、再度削り直してCR治療をやり直したり、場合によってはインレー等
の補綴を入れる治療に移行する場合があります。 - ・コアごと外れたクラウンの場合は、見た目でピタッとはまっていても、レントゲンで確認
すると歯の根っこが折れていて、被せ直しが出来ないという可能性があります。
いずれにしても、なぜ取れてしまったかの判断材料になりますので、このような場合でも
取れた被せ物や詰め物は持参し歯科医院で受診をした方が良いでしょう。
被せ物を飲み込んでしまった場合
また、はずれた瞬間に間違えて飲み込んでしまった!という方がいらっしゃいます。
インレーやプラスチックレジンの詰め物は、部分的に覆い、一般的にサイズが小さい物が多いので、余計に飲み込んでしまうリスクがあります。
体調に異変が無い限りは、胃へ流れ込み数日後に便として体外から排出される場合がほとんどです。
しかし、ご高齢者などの体の機能の衰えがある方や、小さいお子さんの体の機能が未発達の方は、稀にですが気管へ入ってしまう誤嚥のリスクがあります。
喉の違和感や長時間のせき込み、腹痛など、何か異常を感じ訴えがある場合は、消化器内科などの医療機関で早期受診がお勧めします。
絶対にやってはいけない!アウトな対処法とは?
極稀ですが、目を疑うような対処をされた患者様がいらっしゃいます。
取れた被せ物を、市販の瞬間接着剤を使用して、ご自分で再接着した患者様です。
このような対処は、絶対にやってはいけません。
先程お伝えしたように、被せ物が外れた原因は様々です。
取れた原因を解明せず、勝手な判断で接着するのは、ご自身の歯に負担をかけ、抜歯の可能性が非常に高くなる行為ですし、少しでもずれた状態で接着した場合、隙間が生じ虫歯のリスクもあがり、咬み合わせも狂ってしまいます。
また、歯科医院で使用する接着剤は、歯科用に開発された、生体に安全な材料です。
市販の瞬間接着剤は、口腔内の用途で開発していませんし、体に有害な成分も含まれて
います。
歯科に通う時間が取れない場合は、多少期間が空いても構わないので外れた部位を清潔に保ち、時間が出来たら必ず歯科医院で診てもらう事をお勧めします。
プラモデル感覚で対処せず、せっかく残っているご自身の歯は大事にしましょう!
まとめ
いかがでしたか?
突然前触れもなく被せ物が外れてしまうと、「また治療が長引くな」「面倒だな」とネガティブなイメージが先行してしまいますが、放置すればするほど、状況は悪化するだけです。
歯科医院で診てもらう事で、適切な処置はもちろん、口腔内の現状がわかる良い機会だと前向きに捉えて頂き、いつまでもご自身の歯が長持ちするようお手伝いさせて頂ければ幸いです!